2017/01/03

ブログURL変更のおしらせ

長らくこのブログをご覧いただいていてるみなさま、検索でたどりついてくださったみなさまへ。

ご訪問いただきありがとうございます。

時代はどんどん変わり、私の環境も考え方も移り変わっていきます。芯はこれからも変わりませんが、過去の記事を眺めると明らかに「その時代」に書かれたなあ、という古さを感じるに至り、2017年1月3日をもってこのブログで書いたすべての記事を非公開に変更いたしました。

特に、2016年4月に故郷の熊本で起きた震災は、私のこれまでとこれからを深く考えさせるきっかけとなりました。

新しいブログ記事は以下URLにて公開しておりますので、よろしければごらんくださいませ。ご参考までに、2017年1月3日現在のプロフィールも記載しておきます。

みなさまの毎日が希望に満ちた素晴らしい日々でありますように!


EDIT THE WORLD
http://blog.mikiikeda.tokyo/

エディター/俳人。“世界を編集する”が人生のテーマ。
旅と靴とワインとシャンパーニュと詩とラテン・ミュージックを愛する。
「幸福学」研究中(2017年4月より慶應SDM修士に進学予定)。
シャンパーニュ騎士団シュヴァリエ。
一般財団法人ブランド・マネージャー認定協会トレーナー資格保有。
日本と世界各地、東京と日本各地をクリエイティブで結ぶユニット「DoubleVisionTokyo」プロデューサー。
女性3人のクリエイティブ・チーム「東京女的生活」メンバー。
cafeglobeにて短編小説「東京一夜」連載中。
http://www.cafeglobe.com/author/kisaragi_m/

2013/05/09

「ザ・ハフィントン・ポスト・ジャパン」ローンチ発表会ー私たちの言葉は未来を作るか?

会場入り口に掲げられていたパネル。
「あなたのコトバが、未来をつくる。」が“掛け声”。

5/7にオープンした「ザ・ハフィントン・ポスト・ジャパン」のローンチ発表会に行ってきた。

左から、ジャパンCEO小野高道氏、ジャパン代表取締役西村陽一氏、
ジャパン編集長松浦茂樹氏、アリアナ・ハフィントン氏、
朝日新聞社代表取締役社長木村伊量氏、
ザ・ハフィントン・ポスト・メディアグループCEOジミー・メイマン氏。
私の身長が足りず、このショットしか撮影できなかった。

THE HUFFINGTON POST」とは、ニュース、ブログ、ソーシャルメディアを組み合わせたニュースサイト。2005年に米国でアリアナ・ハフィントン氏により立ち上げられた。現在では月間4600万人の訪問者を数え、投稿件数は月間800万件を超えるなど、もっとも多くの読者をもち、もっとも参照されるメディアだという。2012年にはピューリッツァー賞も受賞している。

今回、5/7に、その日本語サイト「THE HUFFINGTON POST in association with THE ASAHI SHIMBUN」がオープンした。サイトはブロガーによるブログ記事、ニュース記事、ソーシャルコメントの3つの要素で構成される。

日本版の立ち上げには、まず70名のブロガーに寄稿を依頼した、と資料にはある。ジャーナリストの佐々木俊尚氏、メディア・アクティビストの津田大介氏、起業家の堀江貴文氏など、ネットの世界ではおなじみの著名人たちの名前が揃う。米国版ではブロガー数は3万人以上というから、これからどんどん増えていく、と理解していいのだろう。

編集長の松浦茂樹氏いわく、「団塊ジュニア世代に意見を発信してもらうことがテーマ」。人数が多いにもかかわらず、その声が聞こえてこない、という。その意見を集約していければ、と。

このローンチ発表会については、数多くのメディアが参加していたので、きっとオフィシャルな記事が多く出ることと思う。詳しくはそちらに譲るとして、私は自身の印象的な体験をブログに書き留めておきたい。

挨拶に立ったアリアナさんがアジア初のローンチへの喜び、期待などを語る際、日本からの発信として期待することの中に、well-being、health balanceといった言葉を使って説明したことに(しかも何度も!)少し驚いた。

アリアナ・ハフィントン氏。

これまでも、外国人セレブリティから、日本の良いところについて話を聞くとき、これらの要素が入ってくることが多かったけれど、それは、日本の紋切り型のイメージを語っているだけだと思っていた。

しかし、今や世界を代表すると言ってもいい大メディアグループのプレジデント兼編集長も、そのことを口にするんだ、という驚きがあった。活発な言論以外に、日本に求められていることのひとつ——それはストレスを緩和させ、精神を鎮める方法だなんて。

私は、もはやこの国にはそんなものはないんじゃないか、と、ちょっと思っていたのだ。この発表会の前に彼女は京都に滞在していたという。そこで得た経験も大きかったのかもしれない。

参考:アリアナ・ハフィントンよりご挨拶

また、ハフィントン・ポストにビューを集める施策は何ですか? 魅力的なブロガーなどの書き手?」というプレスからの質問に「私が一番、記事を書いてほしいと思っているのは『普通の人々』です!」と断言していたのが印象的だった。

とはいえ、「普通の人々」がハフィントン・ポストに自分のスペースを持てるようになる道のりは、まだきっと、はるか遠い。まずは、上がった記事にせっせとコメントを書いていくしかなさそうだけど。どうなんだろう?

発表会に続いて懇親会がおこなわれた。ここでアリアナさんをつかまえて、以前から抱いていた疑問「なぜハフィントン・ポストには“女性”というカテゴリがないの?」と聞いてみた。

彼女の答えはこうだった。

「政治であれ、ビジネスであれ、なんであれ、そこに女性がいるのは当たり前でしょう?」

確かに。そうだ。その視点が欠けていた。けっこう、衝撃だった。女性、という存在をひとつの大きな“カテゴリ”として考えている以上、まだまだ私には、成熟した社会をつくり、参加する意識が整っていないのかもしれない。

(2013年5月9日追記・Twitterで「英語版にはありますよ」と教えていただいたのだが、Healthy Livingというカテゴリの中のサブカテゴリで、気がつかなかった。私のアリアナさんへの質問は「米国版にも日本版にも、大カテゴリにWOMANという項目はないの?」というものだったことも追記しておく。ご指摘感謝!)


「でもあなたの言っていることもわかるのよ」とも言ってくれた。それは日本という社会のもつ意識に対する彼女の答えだったのだろうか。

パーティートークは短く、が礼儀だ。そろそろ切り上げようと思った私に「そうそう! そういう質問をしたあなたに、私がの書いたこの本を差し上げるわ」と、アリアナさんは、深いグリーンの大きなハンドバッグから、著書"On Becoming Fearless....in Love, Work and Life"を出して、サインをして、手渡してくれた。

「これを読んで、そして、感想をハフィントン・ポストに書いてね。約束よ」

何か大事なものを手渡された気がした。いや、違うのかもしれない。けれど、私がそう思うのは自由だ。そうでしょう? それこそまさにon becoming Fearlessの(大胆不敵になるための)手始めじゃないか?

よっしゃ、私、今日からちゃんとまた、気合いを入れようと思う出来事だった。アリアナさんの手のひらは柔らかく、あたたかだった。

アリアナ・ハフィントンさんと。

ここまで書いてきて、気になっていることがひとつある。

「あなたのコトバが、未来をつくる。」という掛け声の言わんとすることはわかる。でも、発するべき言葉を持たない人は、世の中に実にたくさんいるのだ。私も含めて。

「言いたいこと」がある人は、発表すればいい。けれど、自分がどういう意見を持つべきかをつねに考えあぐね、迷い、悩み、あるいは放棄し、あるいはまったく関心を持たない“その他大勢”は、発するべき言葉を持つ前の前の段階にもやもやと漂っている。

そういう“その他大勢”の、言葉にならぬ言葉を感知し、すくい上げていくのもメディアの役割ではないか、と私は考えている。長年、女性のライフスタイルをテーマに雑誌を編集してきて、そう思うに至った。

発表会の中で何度も繰り返されていた「豊かな言論空間」という言葉があった。メディアの役割が“コトバを持つひとびと”のためだけのものにならないようにしたい、そのために私には何ができるだろう、と、大胆不敵に考えはじめている。

参考:
ハフポスト日本版、ローンチイベント7日東京で開催

2012/01/12

「リーヒンムイ」って何!? “春を告げる花 ”梅とハワイの意外な関係。

昨夜、新年初めての「地球テレビ エル・ムンド」に出演してきた。番組自体は一昨日が新年初日だったのだが、私にとっては昨日が初日ということで、とっておきの着物を蔵(いえいえ、クロゼット)から出してみた。

左から富田晶子ちゃん、私、ア ミール・ナデリ監督、マギー、アンディ。

今回のトークゲストはイラン人映画監督のアミール・ナデリ氏。現在はニューヨークを拠点にしている。日本映画が大好きで、黒沢や小津を始めとする日本の映画監督達に多大なインスピレーションをもらったと話す監督、なんと今回、初めての日本映画を撮ったという。

作品は「CUT」。 現在公開中。

日本語は全然話さないのですか? と監督に聞いたところ「not at all」。それなのに日本語の台詞の日本映画を作ってしまうというパワーはすごい。VTR中も放送終了後もおしゃべりの止まらないエネルギッシュな方だった。

私のコーナー「池田美樹のFabulous Women」では、今回は着物の柄にちなんで「梅の花」にまつわる話をした。

まだまだ寒い時期だが、地域によってはちらほらと早咲きの梅が咲き始める季節。

梅は『春告草』とも言われて、春の訪れを告げる日本の代表的な花。でも実は日本古来のものではなく、奈良時代に中国から伝えられたものなのだ。

中国の文化を取り入れることは当時の最先端の流行。とても“エル・ムンド”なものとして、当時の貴族達はこぞって庭に梅の木を植えて鑑賞したのだそうだ。

その当時の梅の花のとっておきの楽しみ方というのが…

(ここで晶子ちゃんがフレームイン、梅の花を浮かべたお酒をサーブ。マギーにはノンアルコールの甘酒。)

こうやって梅の花を愛でながらお酒を飲んで歌を詠み合う、というのが当時の貴族達には最高のセンスあるおしゃれな遊びだったのだ。実はこれが今の花見の原型といわれている。

(その後平安時代には梅は「香り」を愛でるものとして桜の観賞に関心が移っていった)

今はこうして、梅といえば日本人になじみの深いものになっているが、もうひとつ、意外な場所で梅が愛されている。その場所とは、ハワイ。

「クラックシード」はハワイではポピュラーな乾燥させた果物のこと。

こうやって店主がジャーから注いでいるのは…

「リーヒンムイ」です!

ハワイでは、この「リーヒンムイ」と呼ばれる干し梅が、スナックとして大人にも子どもにも大人気! しかも干し梅だけではなく、「リーヒンパウダー」というふりかけのような粉もあり、フルーツやかき氷などにかけて食べるのです。

この文化、アメリカ全体ではなくハワイだけのもの。しかも今に始まったことではなく、150年ほど前、中国の移民がハワイにやってきたときに干し梅を持ってきたのが始まり。長い航海の間、日持ちするようにと梅や果物を乾燥させて持ってきたのがハワイに広まった、というわけ。

みなさまも、今度ハワイに行った他時はぜひリーヒンムイにチャレンジしてみてください!

中国では梅は“幸運”を象徴するものなので、私も今年1年の幸運を祈って梅を季語に使って一句詠んでみた。

白梅のひらいてここに始まる日 美樹

今年1年がみなさまにとって素晴らしい、幸運に満ちた年になりますように!




2011/09/14

TOFU(豆腐)、世界を渡る。

昨夜はNHK BS-1の番組「地球テレビ エル・ムンド」の生放送だった。

(ブログの新しい読者のかたに説明させていただくと、この5月から月2回水曜日、MCとしてレギュラー出演しています)

この日のトークゲストはネパール大衆歌謡歌手のスンダリ・ミカさん。 とても前向きで明るく元気なかたで、こちらもしっかりと元気をいただけた! ネパールでもっとも有名な民謡だという「レッサム・フィリリ」を生歌で聞かせてくださり、楽しかったなあ。

今回、他のコーナーでもネパールの話が多く、にぎやかな放送となった。

左から、スンダリ・ミカさんのバンドのおふたり、冨田晶子ちゃん、私、スンダリ・ミカさん、アンディ、マギー、今週のバンド・瀬木貴将バンドの瀬木さん。
私のコーナーでは今回「豆腐」がテーマ。

豆腐がなぜエル・ムンドなのか?

(「エル・ムンド」とはスペイン語で「世界」を意味し、私のコーナー「池田美樹のFabulous Women」では、女性がワクワクするような「何かと世界との関わり」を紹介することになっています)

豆腐は日本発祥ではなく、8世紀頃、遣唐使によって中国から入ってきた食べ物。独自の発達を遂げ、16〜17世紀頃、南蛮貿易で日本から欧米に渡った。しかし「味がなくておいしくない」と、最初は馬や牛などの餌にしか使われていなかったらしい。

それが、ベジタリアンやナチュラリストの間で「ローカロリーでヘルシー」と食べられるようになり、1975年に出版された「THE BOOK OF TOFU」という本が大ヒットしたことで、アメリカではスーパーマーケットに並び、一般の家庭で食べられるようになる。 この本、今でも売れ続けているのだとか。

250ものレシピが掲載されている「THE BOOK OF TOFU」。
しかも「豆腐」に当たる英語もイタリア語もフランス語もスペイン語もなく、豆腐は「TOFU」という名で世界中で流通しているって! 知らなかった!

このように、豆腐が世界中でヘルシーフードとして食べられているのは知っていたけれど、その豆腐は日本から輸出されているのかな、なんて漠然と思っていた私。ハワイでも作られているんですね!

ALOHA TOFU。絹ごしも木綿もある。
アロハ豆腐」。日系人の鶴さんと亀三郎さんがハワイに渡って1950年に創業し、もう60年以上オアフで豆腐を作っている。今は3代目のポールさんご夫妻が経営。

3代目のポールさん。
昔は日系人にしか食べられていなかったけれど、今は健康ブームもあってロコにも大人気なんだとか。生物なので日本には持って帰って来れないから、ハワイに行ったら現地でぜひ食べてみたいな。

もうひとつ、スペイン・マドリッドで日本人のかたが作っている豆腐も紹介させていただいた。TOOFU-YA」というメーカーだ。

TOOFU-YAのオーナー、高住正幹さん。

アレンジした味付き豆腐。
なかなか受け入れられない豆腐を広めるため、野菜入り、フルーツ入りからなんとチョコ入り、また、大豆を使ったスイーツまで、食べやすいようにアレンジ。

休日には自宅に人を招き、豆腐づくしの料理を食べてもらい、理解を深めてもらうよう努力したという。

開業25年。今ではフランス、ドイツ、スイス、イギリスなど8か国以上に輸出されているのだそう!

オーナーさん達の話を聞けば聞くほど、その努力に本当に頭が下がります。

夏に採れた大豆で作る「新豆腐」は秋の季語。この日は、

風あれば海の香のする新豆腐

という俳句を作った。豆腐を食べながら、大海原を渡って世界中に飛び出していった豆腐に思いを馳せて…。

次回の私の 「地球テレビ エル・ムンド」出演日は9月28日水曜日。お時間があればぜひご覧ください!